~血圧の薬を減らせる人、減らせない人~ どちらが幸せ?

2017年6月 7日

 血圧の薬をやめたいと来院される方が時々来られます。

 生活習慣の改善、つまり減量、減塩、運動がすでにできている高血圧の方(生活習慣いいね組)は、達成程度によりますが、お薬を減らすのは難しいでしょう。一方、いらいらストレス過食、楽しいランチ・宴会過食、運動不足で体重がオーバーになっている高血圧の方(お薬よろしく組)は、今まで数種類の血圧の薬を飲んでおられた場合、生活習慣の改善努力をすれば、少なくとも一剤は減らせるかもしれません。

 このように書くと、生活習慣いいね組の方がお薬よろしく組よりも気の毒に思えるかもしれません。

 循環器専門医の立場から言うと、生活習慣いいね組は高血圧治療の免許証でいうとゴールドで、お薬よろしく組は、まだ初心者マークも外せてない状態です(もっとも、高血圧を放置されている方は無免許運転というべきですが)。生活習慣いいね組の方の血液はすでにきれいになっており、その血管も以前よりしなやかになり始め、動脈硬化のスピードがゆっくりになっています(ひょっとしたら若くなっているかもしれません)。お薬よろしく組は、お薬で血圧の数字合わせに専念されていますので、血管の中は汚れていて、血管も早く硬くなって行ってしまいます。なんでもそうですが、手入れがゆきとどけば、長持ちするものです。血管が硬くなるときに痛みが出ればわかりやすく、医師も患者さんも苦労しないですむでしょう。残念ながら、「痛い!」とは誰も言ってくれません。自覚できるのは、「血管が詰まった時」だけです。心筋梗塞、脳梗塞です。「あの人、あんなに元気やったのに・・・」は、そういうことなのです。

 当院では、自覚できない血管の「痛み」と「傷み」を患者さんに理解していただくべく診療を行っております。

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